抗わないという考え方

February 9, 2026

山根 大樹さん

愛媛県西条市を拠点に活動するブルワー。
GROUNDTAP BREWERY にて醸造を担いながら、レシピ設計から製造、場づくりまでを手がけている。
西条の水や地域の素材に向き合いながら、ビールづくりを通して土地の個性を表現する取り組みを続けている。

拠点:愛媛県西条市
関連リンク:GROUNDTAP BREWERY 公式サイト

ーーーーーーーーーー

愛媛県西条市。
名水「うちぬき」が街のあちこちから湧き出るこの土地に、本格的なクラフトビール工場がある。

グランドタップブルワリーでビールをつくる山根さんは、自らを「ブルワー(醸造士)」と呼ぶ。
経営者でも、起業家でもなく、まずは作り手としてこの場所に立っている。

映像業界、デザイン会社、バックパッカー。
いくつもの世界を行き来してきた山根さんが、最終的に西条で選んだのは、「抗わない」という姿勢だった。

クラフトとは何か。
本質とは何か。
そして、この土地でビールをつくり続ける意味とは――。

答えの出ない問いを抱えたまま、それでも今日もタンクの前に立つ理由を聞いた。

ーーーーーーーーーー



「キャリアは、ないっすね(笑)」


「キャリアって言われても……ないっすね(笑)」

そう言って山根さんは笑う。

西条で生まれ育ち、大学進学を機に県外へ出た。
子どもの頃はずっと野球をしていた。

「家にいるのがあんまり得意じゃなくて、外で何かしてるほうが楽やったんやと思います」

授業中、机の端に絵を描いていたことも多かったという。

「“こうやったらもっと面白いのに”っていうのを、ずっと考えよった気がしますね」

当時はそれが仕事につながるとは思っていなかった。



旅と映像と、表現すること


大学時代、友人の影響で旅に出た。
バックパッカーという言葉が流行り始めた頃だった。

「その頃、動画撮ってYouTubeに上げたりしよったんですよ。今思えば、結構早かったですね」

本当は、映像ディレクターになりたかった。

東京で映像業界に入るが、現実は厳しかった。



デザインと「本質」という言葉


映像の現場を離れ、デザイン会社に入った。

「ここが、人生で一番長くいた会社ですね」

学んだのは、技術よりも考え方だった。

「“本質とは何か”って、ずっと言われてました。なんでそれをやるのか、って」

学生時代、インドで酒に関わるインターンをしていたこともあり、「いつか酒をやりたい」という感覚は残っていた。

ちょうどその頃、クラフトビールが盛り上がり始める。

「クラフトビール界隈でも、DIYで工場をつくって始めている人たちが出てきていて。それを見て、“これ、可能性あるな”って思ったんです」

デザインの仕事を続けながら、少しずつビールの現場に関わるようになった。



西条に戻る、という選択


全国のブルワリーで経験を積む中で、西条の話が来た。

「西条でビール作るから、どうや?って」

迷いはあった。

「でも、“誰かがやるなら、たぶん自分がやったほうがいい”って思ったんですよね」





抗わない、という考え方


「ビールって、8割ぐらい水なんですよ」

西条の水は、はっきりと個性がある。

「水変わると、こんなに味変わるんやなって思いました」

山根さんが大事にしているのは、「抗わない」こと。

「テロワールって、地元の原料使うことじゃないと思ってて。
その土地で“そうするしかなかった結果”やと思うんです」

今はホップも輸入できる。
でも、もし入らなくなったら。

「その時に、柑橘の皮使うしかない、ってなったら、それがテロワールやと思う」

実際に、ホップを減らし、地元の柑橘で代替する実験も始めている。

「“地元のもの使ってます”って言いたいわけじゃない。機能するから使う、ってだけです」



まだ答えは出ていない


「ここで作るべきビールは何か、っていうのは、まだ分からんですね」

クラフトとは何か。

将来の形は、決めすぎない。

「続くかどうかも、正直分からんです。
でもまあ、なるようになるかなって」

そう言って、山根さんは次の仕込みの準備に戻っていった。



WATER LOOP PROJECT

抗わないという考え方

February 9, 2026

山根 大樹さん

愛媛県西条市を拠点に活動するブルワー。
GROUNDTAP BREWERY にて醸造を担いながら、レシピ設計から製造、場づくりまでを手がけている。
西条の水や地域の素材に向き合いながら、ビールづくりを通して土地の個性を表現する取り組みを続けている。

拠点:愛媛県西条市
関連リンク:GROUNDTAP BREWERY 公式サイト

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愛媛県西条市。
名水「うちぬき」が街のあちこちから湧き出るこの土地に、本格的なクラフトビール工場がある。

グランドタップブルワリーでビールをつくる山根さんは、自らを「ブルワー(醸造士)」と呼ぶ。
経営者でも、起業家でもなく、まずは作り手としてこの場所に立っている。

映像業界、デザイン会社、バックパッカー。
いくつもの世界を行き来してきた山根さんが、最終的に西条で選んだのは、「抗わない」という姿勢だった。

クラフトとは何か。
本質とは何か。
そして、この土地でビールをつくり続ける意味とは――。

答えの出ない問いを抱えたまま、それでも今日もタンクの前に立つ理由を聞いた。

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「キャリアは、ないっすね(笑)」


「キャリアって言われても……ないっすね(笑)」

そう言って山根さんは笑う。

西条で生まれ育ち、大学進学を機に県外へ出た。
子どもの頃はずっと野球をしていた。

「家にいるのがあんまり得意じゃなくて、外で何かしてるほうが楽やったんやと思います」

授業中、机の端に絵を描いていたことも多かったという。

「“こうやったらもっと面白いのに”っていうのを、ずっと考えよった気がしますね」

当時はそれが仕事につながるとは思っていなかった。



旅と映像と、表現すること


大学時代、友人の影響で旅に出た。
バックパッカーという言葉が流行り始めた頃だった。

「その頃、動画撮ってYouTubeに上げたりしよったんですよ。今思えば、結構早かったですね」

本当は、映像ディレクターになりたかった。

東京で映像業界に入るが、現実は厳しかった。



デザインと「本質」という言葉


映像の現場を離れ、デザイン会社に入った。

「ここが、人生で一番長くいた会社ですね」

学んだのは、技術よりも考え方だった。

「“本質とは何か”って、ずっと言われてました。なんでそれをやるのか、って」

学生時代、インドで酒に関わるインターンをしていたこともあり、「いつか酒をやりたい」という感覚は残っていた。

ちょうどその頃、クラフトビールが盛り上がり始める。

「クラフトビール界隈でも、DIYで工場をつくって始めている人たちが出てきていて。それを見て、“これ、可能性あるな”って思ったんです」

デザインの仕事を続けながら、少しずつビールの現場に関わるようになった。



西条に戻る、という選択


全国のブルワリーで経験を積む中で、西条の話が来た。

「西条でビール作るから、どうや?って」

迷いはあった。

「でも、“誰かがやるなら、たぶん自分がやったほうがいい”って思ったんですよね」





抗わない、という考え方


「ビールって、8割ぐらい水なんですよ」

西条の水は、はっきりと個性がある。

「水変わると、こんなに味変わるんやなって思いました」

山根さんが大事にしているのは、「抗わない」こと。

「テロワールって、地元の原料使うことじゃないと思ってて。
その土地で“そうするしかなかった結果”やと思うんです」

今はホップも輸入できる。
でも、もし入らなくなったら。

「その時に、柑橘の皮使うしかない、ってなったら、それがテロワールやと思う」

実際に、ホップを減らし、地元の柑橘で代替する実験も始めている。

「“地元のもの使ってます”って言いたいわけじゃない。機能するから使う、ってだけです」



まだ答えは出ていない


「ここで作るべきビールは何か、っていうのは、まだ分からんですね」

クラフトとは何か。

将来の形は、決めすぎない。

「続くかどうかも、正直分からんです。
でもまあ、なるようになるかなって」

そう言って、山根さんは次の仕込みの準備に戻っていった。



WATER LOOP PROJECT

抗わないという考え方

February 9, 2026

山根 大樹さん

愛媛県西条市を拠点に活動するブルワー。
GROUNDTAP BREWERY にて醸造を担いながら、レシピ設計から製造、場づくりまでを手がけている。
西条の水や地域の素材に向き合いながら、ビールづくりを通して土地の個性を表現する取り組みを続けている。

拠点:愛媛県西条市
関連リンク:GROUNDTAP BREWERY 公式サイト

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愛媛県西条市。
名水「うちぬき」が街のあちこちから湧き出るこの土地に、本格的なクラフトビール工場がある。

グランドタップブルワリーでビールをつくる山根さんは、自らを「ブルワー(醸造士)」と呼ぶ。
経営者でも、起業家でもなく、まずは作り手としてこの場所に立っている。

映像業界、デザイン会社、バックパッカー。
いくつもの世界を行き来してきた山根さんが、最終的に西条で選んだのは、「抗わない」という姿勢だった。

クラフトとは何か。
本質とは何か。
そして、この土地でビールをつくり続ける意味とは――。

答えの出ない問いを抱えたまま、それでも今日もタンクの前に立つ理由を聞いた。

ーーーーーーーーーー



「キャリアは、ないっすね(笑)」


「キャリアって言われても……ないっすね(笑)」

そう言って山根さんは笑う。

西条で生まれ育ち、大学進学を機に県外へ出た。
子どもの頃はずっと野球をしていた。

「家にいるのがあんまり得意じゃなくて、外で何かしてるほうが楽やったんやと思います」

授業中、机の端に絵を描いていたことも多かったという。

「“こうやったらもっと面白いのに”っていうのを、ずっと考えよった気がしますね」

当時はそれが仕事につながるとは思っていなかった。



旅と映像と、表現すること


大学時代、友人の影響で旅に出た。
バックパッカーという言葉が流行り始めた頃だった。

「その頃、動画撮ってYouTubeに上げたりしよったんですよ。今思えば、結構早かったですね」

本当は、映像ディレクターになりたかった。

東京で映像業界に入るが、現実は厳しかった。



デザインと「本質」という言葉


映像の現場を離れ、デザイン会社に入った。

「ここが、人生で一番長くいた会社ですね」

学んだのは、技術よりも考え方だった。

「“本質とは何か”って、ずっと言われてました。なんでそれをやるのか、って」

学生時代、インドで酒に関わるインターンをしていたこともあり、「いつか酒をやりたい」という感覚は残っていた。

ちょうどその頃、クラフトビールが盛り上がり始める。

「クラフトビール界隈でも、DIYで工場をつくって始めている人たちが出てきていて。それを見て、“これ、可能性あるな”って思ったんです」

デザインの仕事を続けながら、少しずつビールの現場に関わるようになった。



西条に戻る、という選択


全国のブルワリーで経験を積む中で、西条の話が来た。

「西条でビール作るから、どうや?って」

迷いはあった。

「でも、“誰かがやるなら、たぶん自分がやったほうがいい”って思ったんですよね」





抗わない、という考え方


「ビールって、8割ぐらい水なんですよ」

西条の水は、はっきりと個性がある。

「水変わると、こんなに味変わるんやなって思いました」

山根さんが大事にしているのは、「抗わない」こと。

「テロワールって、地元の原料使うことじゃないと思ってて。
その土地で“そうするしかなかった結果”やと思うんです」

今はホップも輸入できる。
でも、もし入らなくなったら。

「その時に、柑橘の皮使うしかない、ってなったら、それがテロワールやと思う」

実際に、ホップを減らし、地元の柑橘で代替する実験も始めている。

「“地元のもの使ってます”って言いたいわけじゃない。機能するから使う、ってだけです」



まだ答えは出ていない


「ここで作るべきビールは何か、っていうのは、まだ分からんですね」

クラフトとは何か。

将来の形は、決めすぎない。

「続くかどうかも、正直分からんです。
でもまあ、なるようになるかなって」

そう言って、山根さんは次の仕込みの準備に戻っていった。



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