ISSUE
私たちが取り組む課題
About SAIJO
水が暮らしと産業を支えてきた街、西条
愛媛県西条市は、南に西日本最高峰・石鎚山、北に瀬戸内海を臨む街です。温暖な気候と山から海へと続く地形に支えられ、四国一の経営耕地面積を持つ農業地帯であると同時に、造船や製造業が集積する産業の街でもあります。
この街の暮らしと産業を根底で支えてきたのが、自噴地下水「うちぬき」です。地中から自然に湧き出す地下水は、飲み水としてだけでなく、農業や食品加工、工業用水としても使われ、日常と経済の両方に深く関わってきました。
山に降った雨が地下水となり、街で使われ、海へと流れていく。西条では、水の循環が今も生活と産業の中に息づいています。このプロジェクトは、そうした水との関係が残る西条を、実践の場として始まりました。

Context
問題は水そのものではない
愛媛県西条市は、豊かな地下水に支えられてきた街です。
その一方で、水がある街であるからこそ、水をめぐる課題は見えにくくなりがちです。
水は自然の循環の一部です。 そして、暮らしも、営みも、本来はその循環の中にあります。
かつて、自然と暮らし、営みや共同体はもっと近い距離で重なり合っていました。
水を使うこと、土地に手を入れること、地域で営みを続けること、関係を受け継いでいくこと。
それらは別々のものではなく、日々の暮らしの中でゆるやかにつながっていました。
しかし、時代の変化とともに、その関係は少しずつ見えにくくなっています。
水は使われ続けていても、それがどこで育まれ、どのような営みと結びつき、誰の手によって受け継がれてきたのかは、日常の中から遠ざかっていく。
見えないものは、関係ないものとして扱われていきます。
その結果、地域の循環は少しずつほどけ、森林の荒廃、耕作放棄地、担い手不足、水との関係の希薄化といったかたちで表に現れます。
問題は、水そのものではありません。
水をめぐって重なり合っていた関係性が、見えなくなり、ほどけていくことにあります。
関係性を編み直すことは、時間がかかり、手間もかかります。
即効性もなく、見た目の成果もすぐには現れません。
それでも、何かを起こし、続けていこうとするなら、避けて通ることはできません。
これは、西条だけの話ではありません。
自然、暮らし、営み、共同体のつながりが見えにくくなることは、多くの地域で起きている問題でもあります。
このプロジェクトは、水との関係性を編み直すことから、暮らしと営みをもう一度、地域の循環の中に置き直そうとしています。

Scope
このプロジェクトが向き合っている射程
街では関係が見えなくなり。山では関係が途切れ。里では関係を引き継ぐ人が減っている。
これらは別々の問題のように見えて、地下水という循環の中で連なっています。このプロジェクトは、これらのScopeを分断せず、関係性として捉え直すところから始まっています。

街
の課題
水が当たり前になりすぎている
西条市では、地下水が暮らしのすぐそばにあります。蛇口をひねれば水が出る。水場は街の中に点在している。その一方で、水がどこから来て、どのように支えられているのかを考える機会は、少しずつ減ってきました。水が身近であるがゆえに、水との関係が意識されにくくなっている。街の課題は、水が失われることではなく、水との関係が背景に退いていくことにあります。

山
の課題
人の手が入らなくなった森
地下水は山の森で育まれます。しかし現在、多くの山では、手入れが行き届かない植林地が増えています。木が過密な状態で放置された森では、水を蓄え、ゆっくりと地中へ送り出す力が弱まります。森の問題は、木が多いか少ないかではなく、人の関わりが途切れていることにあります。山の課題は、自然の問題であると同時に、人と森の関係の問題です。

里
の課題
水を支えてきた担い手の減少
里では農業用水をはじめとした水の管理が、人の手によって支えられてきました。水路の整備や水源の管理は、長い時間をかけて受け継がれてきた営みです。しかし、農業従事者の減少や高齢化によって、その関係が維持しにくくなっています。水は使われ続けていても、水を支える人の数は減っていく。里の課題は、水の不足ではなく、関係を引き継ぐ担い手が減っていることにあります。

APPROACH
このプロジェクトでは、水を「循環する価値」として捉え直し、社会の中で持続していく形を探っています。

1|持続性のある地域の形をつくる
地域の活動は、一度盛り上がって終わるものではなく、続いていく状態であることが大切だと考えています。
そのために必要なのは、特別な取り組みや一時的な支援ではなく、暮らしや仕事の中に、自然との関係が組み込まれていることです。
私たちは、循環の外にある活動ではなく、循環の中に置かれた地域の形を目指しています。

2|地域の事業者がワンチームになる
このプロジェクトは、一つの組織や個人が進めているものではありません。
地域の事業者が、それぞれの立場や役割を持ったまま関わり、同じ方向を向きながら取り組んでいます。
やり方や考え方を揃えるのではなく、地域の未来をともにつくっていく。その関係性を、少しずつ編み直しています。

3|課題を起点に商品や体験をつくる
この地域には、地下水や森、農や担い手といった課題があります。
私たちはそれらを、解決すべき問題として切り離すのではなく、地域の営みの一部として受け止めています。
観光をはじめとした商品や体験も、その課題と向き合う過程から生まれています。課題を隠すのではなく、関係を結び直す入口として、形にしています。

PEOPLE
水を使う人、水を支えてきた人、水の未来を考える人。
それぞれの関わり方が、この循環を形づくっています。














